2023年も様々なコンサート企画が進行中です。どうぞご期待ください!
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ご挨拶
あらたまの年を迎え、長年に亘ります皆様方のご厚情に深く感謝申し上げます。
2017年度より日本オペラ協会の総監督を務めさせていただき早や5年…。この間の3年間は新型コロナ禍のもとでのお仕事でしたが、幸いにも中止や延期となりましたオペラ公演は生じず、“わかり易く美しく、普遍的なメッセージを湛えながらも娯楽性に富み、皆様方に永く愛される日本独自のオペラ”の制作と上演に邁進することができました。これもひとえに皆様方の温かなご支援の賜物と、あらためまして心より感謝申し上げます。
昨年の秋には、これまでの主要な日本オペラの名アリアを初めて集大成した、《日本のオペラアリア選集》を私が監修し、これを音楽之友社より出版することができました。日本オペラのさらなる発展に多少なりともお役に立つようでしたら幸甚に存じます。
またこれに続き、3年間におよぶプロジェクト《文化庁委託事業令和2年度 次代の文化を創造する新進芸術家育成事業「日本のオペラ作品をつくる~オペラ創作人材育成事業」》で選出された作品『咲く~もう一度生まれ変わるために』(作曲:竹内一樹/台本:宇吹 萌)を、昨秋「日本オペラ協会公演 室内オペラシリーズ No.2」として制作・上演することができ、ご好評を賜りましたことは大きな喜びでございました。
そしていよいよ今年度の日本オペラ協会の本公演が待ち構えております。これまで満を持しておりました三木稔作曲《日本語版グランドオペラ『源氏物語』》の世界初演が、ついにBunkamuraオーチャードホールにおいて、来たる2月18日・19日の両日に実現できる運びとなりました。
皆様よくご存じの紫式部が西暦1000年頃に書き始めた世界最古の長編小説を基としたオペラですが、それから1000年後にあたるミレニアム2000年にセントルイス・オペラ劇場創立25周年記念事業の中心的な企画として、三木稔氏が同劇場より委嘱された作品です。台本は、構想当初から世界、そして日本での公演を前提に、英語と日本語の同時進行で書かれておりましたが、これまで日本語版ではハイライト・コンサートのような形でしか上演されませんでした。
このオペラでは、出演者はそれぞれの場面で主役の役割を果たさなければならず、声質とテクニック、そして容貌やキャラクターに至るまで、すべての場面に適したハイレベルなソリストが大勢必要となります。しかもダブル・キャストともなれば、その二倍の人材が必要となるのです。しかし、お任せください。ここが“オペラ歌手の宝庫”である日本オペラ振興会・日本オペラ協会なればこそ実現に踏み切れた所以なのです。
きっと適材適所に配されたキャスティングの妙、そしてグランドオペラならではの華やかさとスケール感をお楽しみいただけることと存じます。
また、54帖にも及ぶこの長大な作品と多数の登場人物が織り成す複雑なストーリーが、いかにして3時間ほどの長さの感動的なオペラにまとめ上げられたのか…もう、ご覧いただくしかありません。日本オペラ協会のオールスターが織り成すこの歴史的な公演に、ぜひともお運びくださいませ。心よりお待ち申し上げております。
2023年 初春月 吉日郡 愛子