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心に響く、ピースフルヴォイス「郡 愛子」。
2023年も様々なコンサート企画が進行中です。どうぞご期待ください!
NEWS
  • ご挨拶

    きびしい寒さも峠を越し、春の兆しが見え始めたきょうこの頃です。
    ホームページの更新が約一年振りとなりましたが、この間のご無沙汰をどうぞお許しくださいませ。

    令和七年度の藤原歌劇団の最終公演となります本年1月31日、2月1日の東京文化会館、そして2月7日の愛知県芸術劇場でのダブル・ビル公演《妖精ヴィッリ&カヴァレリア・ルスティカーナ》では、お陰様で藤原歌劇団ならではの歌い手の実力とスケールの大きさをあらためて感じさせられる素晴らしい公演となりました。ご来場くださいました皆様方の“オペラ愛”に、心より感謝申し上げます。

    同じく令和七年度の最後となります日本オペラ協会公演は、大石みちこさんの著書《奇跡のプリマ・ドンナ~三浦環の「声」を求めて》を題材とする同名のオペラで、本年3月7日(土)、8日(日)の二日間、新宿文化センター 大ホールで開催させていただきます。

    原作となった本は、2022年10月にKADOKAWAより出版されました。主人公の三浦環は、東京音楽学校(現・東京芸術大学)本科在籍時の1903年(明治36年)に、日本における初の演出付き全幕通しの西洋オペラ《グルック作曲「オルフォイス」(「オルフェオとエウリディーチェ」)が奏楽堂で上演された際にエウリディーチェを主演しましたが、音楽史には実質上これが日本におけるオペラの幕開けと刻まれます。さらにその後、日本人にとって初めてとなる国際的オペラ歌手、プリマ・ドンナとして活躍したことで名声を博しましたが、大石さんはその「三浦環」像を深掘りするために、環ゆかりの人物を探し、そこから三浦環の人間像をいっそう鮮明に描かれました。
    オペラ化にあたっては、大石さんに脚本もお願いしております。そして作曲は、2023年度の公演《ニングル>を成功に導いてくださった渡邊俊幸さんです。

    女性が多くの偏見に見舞われていた時代に、持ち前の明るく前向きな性格で多難な人生を乗り越え、数々の日本人初の偉業を成し遂げたオペラ歌手・三浦環の生涯を日本オペラ協会がオペラ化し、没後80年を迎える2026年に新作初演することに、藤原歌劇団と日本オペラ協会の両部門を擁する私ども「公益財団法人日本オペラ振興会」は宿命的な意義を感じます。なぜなら、藤原歌劇団の創立者・藤原義江のオペラ歌手としてのスタートは、三浦環より紹介されたニーナ・ガラッシに師事したことから始まったといわれるからです。そして2026年は藤原義江の没後50年にあたります。

    三浦環が遺した功績の背景には、その原動力となり彼女を支えた人たちの声がありました。環の声、そしてその人たちの声から環の人間像が浮かび上がり、三浦環は皆様の前に甦ります。とても感動的なオペラですので、ぜひ新宿文化センターにおはこびください。

    またこのオペラは、ジェンダー・ギャップで未だ世界に遅れをとる日本の現状に活力をもたらし、芸術文化面でオペラが果たす役割の一端があらためて認識される格好の機会になるかと存じます。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

    <オペラ化 実現の背景>

    オペラ化が実現した背景について、少し触れさせていただきます。
    私の祖母・新渡戸ハマは、三浦環さんと東京音楽学校(現・東京芸術大学)で同期であり親交が厚かったのですが、さらに三浦環さんと私が東京女学館の同窓生であることの二つの偶然が重なり、私も大石さんの取材の対象の一人となったことからです。
    そのような経緯から大石さんが取材に見えられ、環さんゆかりの品物も探しておられたので、祖母から私が受け継いできた「環さん自筆の言葉」をお見せしました。
    取材が終わった後の雑談で、「オペラにできないかしら…」とお話しをしてみたところ、その直後に大石さんも出版元のKADOKAWAさんもオペラ化に賛成され、令和七年度(2025年度)の日本オペラ協会公演の演目に決めさせて戴くこととなりました。

    <余談>

    このホームページは、もともと私のプライベートな活動の発信の場でしたが、2019年以降はもっぱら(公財)日本オペラ振興会の監督の役職から情報発信をする場となっております。私個人のリサイタルやその他の活動の再開にはもう少し時間を要するようですが、それまではぜひ藤原歌劇団と日本オペラ協会の公演にお越しいただけましたら嬉しく存じます。会場でお目に掛かれますことを楽しみにいたしております。

    2026年 2月 吉日
    郡 愛子